病院や医療施設、医療技術関連の自分用メモ

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新薬の費用に関する論争が本格的に始まる

3月5日に開催される厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で、ギリアド・サイエンシズのC型肝炎治療薬「ソバルディ」(ソホスブビル)の承認に関してが審議されます。2月13日に厚労省は、ソホスブビルなど3治験薬について海外での市販後の副作用事例に関する報告が遅れたとして同社に業務改善を指示していましたが、影響はなかったようです。

 

ジェノタイプ1のC型慢性肝炎にはインターフェロン(IFN)フリーの治療薬としてアスナプレビルとダクラタスビルが昨年8月に承認されていますが、ソホスブビルはジェノタイプ2の患者対象とした初のIFNフリー治療薬で、リバビリンと12週間併用投与されます。日本のHCV感染者の7割がジェノタイプ1で、3割が2だと言われています。

 

そのソホスブビル、2013年12月に承認された米国では、12週間の服用で8万ドル以上という薬価に批判が集まった。英国では、12週間で3万5000ポンド(約600万円)になりますが、英国立医療技術評価機構(NICE)は1度追加エビデンスを要求したものの、費用対効果があるとして英国民保険サービス

(NHS)での使用を推奨しました。米研究製薬工業協会(PhRMA)は昨年12月に出した報告書「C型肝炎との闘い25年の歩み」の中で、IFNをベースとしたレジメンから直接作用型抗ウイルス剤治療への進化により、C型肝炎を2036年までには大半が治癒できるようになるとした上で、現在のC型肝炎1人当たりの平均年間医療費は2万4000ドル、後期段階肝疾患6万ドル、肝癌11万2000ドル、肝移植50万ドルに達すると試算、新規の有効な薬剤が医療費削減に大きく寄与できるとしています。

 

ちなみに米Gilead Sciences社の2014年上期の売上高はソホスブビル効果で、前年同期比2.1倍の115億3400万ドル、純利益は同3.9倍の58億8300万ドルと急伸しました。

 

効果的な医薬品と薬価の問題はこれからも次々に出て来るのでしょう。先日は米国の大手ドラッグストアチェーンのCVS Healthが、高コレステロール血症治療薬である抗PCSK9抗体が承認されると、薬剤費は年間7000ドルから12000ドルだが、家族性高コレステロール血症の患者65万に加えて、スタチンに忍容性のない患者、スタチンが奏効しない患者、冠動脈疾患の既往のある患者にまで適応を広げると、対象は年間1500万人となり1500億ドルが必要になると、コストコントロールの重要性を訴えて話題になりました。

 

ここでもソホスブビルが例として挙げられています。日本でもいよいよ、新薬と薬剤費とに関する論争の火蓋が、切って落とされようとしているのでしょうか。