病院や医療施設、医療技術関連の自分用メモ

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バイオシミラーと言う言葉

3月13日の衆議院財務金融委員会で、維新の党の伊東信久議員のバイオシミラーに関する質問に、安倍総理はこう切り出しました。伊東議員の質問の趣旨は、「バイオシミラーの開発・使用の促進は医療費の抑制とともに産業振興という点からも重要である。

しかし日本では、開発支援の戦略も承認ルールも整備されていない。韓国は国家戦略として力を入れているのに、なぜ日本はやらないのか」というもの。「3本目の矢が飛ばないとも言われている中で、バイオシミラーは矢になり得る。しかし販売が進まないのであれば、企業も開発しない」と続けました。

 

これに対して安倍総理の答えは、「バイオシミラーは後発品と少し性格が異なる(構造が先発品と違う)ので、医師の判断の下で慎重に使用されるものだが、後発品と同様に使用を促進していく。先発品はイノベーションを興し、後発品はそのイノベーションを利用して患者さんの人生を豊かにする。そういうサイクルが、バイオ医薬品でも普及していくことで、医療費の削減とともに産業政策的にも意義がある」というものでした。

 

3月6日に、米国でもようやくFDAがバイオシミラーを承認し、市場の今後が注目されています。これはG-CSF製剤フィルグラスチムのドイツSands社による後続品ですが、2番目と目されている韓国Celltrion社によるインフリキシマブの後続品は、全世界では80億ドルの売上が期待できると言われています。

 

ところが、バイオシミラーの普及には、悲観的な見方もあります。米国の大手薬剤給付管理会社Prime Therapeuticsは、「欧州ではバイオシミラーは過去10年間成功を見て、米国での競争推進と薬剤費上昇抑制への強い希望を与えてきた」ものの、「政策立案者が市場参入の制限を最小化しないとバイオシミラー市場は予想より小さく、消費者も保険支払者も期待したほどのベネフィットは獲得できない」としています。また、生物製剤は開発費がかかることから、製薬企業がバイオシミラーの開発費を回収できる市場規模は年間6億2700万ドルから13億ドル以上となり、ベストセラーのバイオシミラーしか登場してこないだろうとも言っています。

 

一方、欧州では、欧州医薬品庁(EMA)が昨年10月にバイオシミラーの開発ガイドラインを改定しました(4月30日から適用)。最初のガイドラインは2005年に策定され、その後の経験に基づいてのアップデートです。バイオシミラーの定義、安全性・有効性を含めた生物学的同等性の定義、用法・用量、投与経路、剤型などの要件の明確化が図られています。この一般的な原則を定めたガイドラインの他に、EMAには「バイオシミラー開発に関する品質問題解決のためのガイドライン」と「バイオシミラー開発に関する臨床試験および非臨床試験面についてのガイドライン」が存在します。

 

日本では2009年に医薬品医療機器総合機構(PMDA)が「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」を出していますが、フィルグラスチム、インフリキシマブと順を追ってバイオシミラーが承認された今、アップデートの時期でしょうか。